ホラー小説の短編集である「恐怖通信Ⅱ」です。

中田耕治氏は小説家、評伝作家、評論家、翻訳家、演出家として知られていますが、私にとっては翻訳家のイメージが一番強い方です。 題名の通り、「恐怖通信」の第二巻の位置づけです。 「恐怖通信」はだいぶ昔から持っていたのですが、この第二巻は最近ネットで買ったものです。
私が気に入った短編は、リチャード・パーカーの「手押し車になった少年」で、とぼけた味があるファンタジー系の一作です。 それからフリッツ・ライバーの「レントゲン写真」は典型的な怪談話、キャンディー・キャンディー」はロバート・ブロックらしい毒のあるお話でした。
次はディーン・クーンツ著の「オッド・トーマスの救済」です。

これは従来のクーンツの作風とは一線を画したシリーズで、幽霊を見ることが出来る青年が主人公です。 クーンツの人生観を変えたゴールデンレトリーバーの雌の“トリクシー”を飼ってから、彼の小説は変わりました。 2009年に彼の唯一の自伝が出版されたそうですが、カバージャケットには今は亡き“トリクシー”の写真、そして内容はと言えば、1章を除いた全てがクーンツ夫妻と“トリクシー”との記述で占められているそうです。 これから見ても、彼にとって“トリクシー”がとても大切なものだったということが良くわかります。
以前に紹介した「一年でいちばん暗い夕暮れに」は、“トリクシー”が亡くなったあとに書かれた最初の小説だそうです。
このシリーズの第1作は「オッド・トーマスの霊感」、第2作は「オッド・トーマスの受難」、そし本書とつながります。 “オッド・トーマス”の一人称が語られる話が淡々と続いていきますが、彼のウィットが効いた会話がまた面白い。 幽霊を見ることが出来る主人公の話なんて沢山ありますが、それらとは一味も二味も違った小説ですので、ホラー小説が好きな方は是非一読を。
読書録 2010年05月 (5)へ続きます。
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